考える力を養う教育。テストも記述式中心。
強制はしないで生徒に考えさせる教育
フィンランドの学校は子ども勉強を強制しません。学びたくない子に無理に教え込んだりはしないのです。「自分の人生にとって必要な知識は自ら習得していくもの。」という考えがあり、学んでも学ばなくても個人の自由で自己責任という考えが徹底しています。ですから、グループ学習中に、携帯電話でメールをしている子やグループに入らないで1人で勉強している子がいても、教師は何も言いません。他人の邪魔をしているときに注意はしますが、それもほとんどないそうです。
重要なのは、生徒個人の責任として終わらせるのではなく、授業後などに教師が生徒に対して何がどう悪くて、今後どうすればいいかを生徒自身に考えさせ、意見も出させるところです。こうして生徒に考えさせることで、自分の行動は本当に正しいのか判断させます。他にも、計算が得意な子が計算をうまくできない子に教えるという教えあいを教師が手助けすることで、充実した知識が作り上げられていくのです。このようにフィンランドでは、一生自分で考えることができる力を身につける教育が日々行われており、生徒の自立性を高めさせています。
自立性を高めるということは、生徒自身の勉強への意欲を高め、常に考える習慣をつけさせます。例えば、フィンランドのテストには、選択問題がほとんどなく記述式になります。これはただ暗記をして知識を頭に詰め込むことをしないで、この知識は本当に学ぶべきか?と常に考えさせることで生徒の自主性を促しています。
“ゆとり教育”を成功させたフィンランド
日本の“ゆとり教育”の理念は「知識だけを重んじることを改めて、考える力や自発的に学ぶ態度を身につけさせる。個性を重視する」というものでした。フィンランドの教育理念とよく似ています。日本には何が不足していたのでしょうか?PISAの問題で日本の子どもの正答率が低かったのは、「なぜそうするのか?」という疑問に対して、生徒たちの考える能力を問う問題だったからです。日本の子どもは与えられた情報に答えるのは得意ですが、自らの考えを基に説明することを不得意としています。日本では“ゆとり教育”の理念が導入されて以降も、「勉強は暗記で覚える」という習慣を脱することができず、物事を表現する力さえも後退させ、理念とはかけ離れた方向へ進んでしまいました。フィンランドは“ゆとり教育”で成功した国ですが、なぜ、成功したのか、成功の鍵は“教師の養成”にありそうです。